※この記事は「独身女性の医療と保険。子宮体がん経験者のルポで見えるお金と日常生活の困難【前半】」の続編記事となります。
「独身女性の医療と保険。子宮体がん経験者のルポで見えるお金と日常生活の困難【前半】」をご覧になっていない方はぜひお読み頂いてから、ご覧ください。
「独身女性の医療と保険。子宮体がん経験者のルポで見えるお金と日常生活の困難【前半】」の記事では33歳の若さで子宮体がんを患ったのり子さん(仮称)のがん発見から入院までのストーリーを「高額医療費制度」の解説を交えてお話しました。
今回は手術後、抗がん剤治療から復職への道をたどります。
もくじ
のり子さんの物語:手術そして想定外の抗がん剤治療
のり子さんは入院後、子宮切除の手術を受けました。手術は無事成功しのり子さんはホッとするとともに、 一か月の自宅療養後に会社に復職するイメージをぼんやり想像していました。
しかし医師から想定外の言葉が告げられます。
「子宮切除で無事ガンは取り除くことができたし、検査結果でも他にがんの移転がみつからなかった。
でも可能性としてすでにがん細胞が100%リンパに入りこんでいないとは言い切れない。 もしリンパにガン細胞が残っていたら、数年後ガンが再発する可能性もあるから、 念のために抗がん剤治療をやっておいたほうがいいと思う」
実は昔、のり子さんの母はこの病院でがん手術として子宮切除をした後、退院。
しかしリンパにがん細胞が残っていたため、5年後がんが再発したのでした。 のり子さんは言います。
「抗がん剤治療なんてまったく想定してなかった。そして抗がん剤治療が体も心も最も辛かった」
抗がん剤治療のプロセスは、1週間抗がん剤治療で入院後、3週間の自宅療養。
そして3週間後再び1週間の抗がん剤治療で入院というサイクルを行う。これを6回繰り返す。
つまり半年間はさらに入院生活をよぎなくされるということ。
抗がん剤治療というのは簡単に言うと、体の悪い細胞も良い細胞も殺すもの。
抗がん剤治療中は体の抵抗力が衰え、髪の毛がすべて抜けてしまいます。(※人によって症状は様々です)
実際のり子さんも2回目の抗がん剤治療を終えたあたりから髪の毛が抜け始めます。
「あるときシャンプーをしていて、ふと排水溝をみたら髪の毛がギッシリ詰まっていて思わず大声をあげて叫んでしまった。ドサっと抜けた髪の毛を見るのが辛く、 旦那に坊主にして!とお願いしました」
1週間の抗がん剤治療を終えた後に自宅に戻る時は、必ず旦那さんがのり子さんを迎えにいきました。
1週間分の入院荷物を持ってひとりで帰宅する力は抗がん剤治療を重ねるたびになくなってきます。
人によっては退院後乗り物に乗れないほど抵抗力が落ち、時間をかけて電車を使って帰ったりする人もいるとか。
とにかくひとりでは何もできない状態になります。 髪の毛がなくなり、体力気力も衰えベットに横たわる日々。
この時にあらためて「自分はがんなんだ」と病気の自分を受けいれることの辛さを味わったと言います。
マネキャリ世代へ:「医療保険」と「頼れる人」を
のり子さんは結婚した時と同時に医療保険に加入していました。
そこで当時なんとなく「がん保険」にも入っており思いがけず役立ったと言います。
のり子さんは子宮切除の手術後に保険金を申請して、抗がん剤治療中に保険金を受け取っています。
ちなみに抗がん剤治療は保険の適用外でしたが、この保険金でかなり療養中の負担は軽くなったと言います。
のり子さんのケースのように抗がん剤治療中の生活にある程度のお金は欠かせません。
移動も困難になる体です、頻繁なタクシーの利用やこの時ばかりはお金をかけて体に良いものを食べるべきでしょう。
例えば良質のフルーツ、野菜ジュースであれば弱った体でも摂取しやすく、栄養価も優れているために積極的に摂取する人は多いそうです。
そして最も大事なのは「頼れる人」。
抗がん剤治療でも、手術後でも体は弱り普段どおりのことができなくなります。
そんな時に自宅から病院までの移動を介助してくれたり、 日常生活を助けてくれる人の存在はお金よりも大きいと言えるでしょう。
独身女性であれば、親か親類、友人です。もしくはお住まいの市町村などの社会福祉協議会のボランティアにお願いするという方法もあります。
普段から、自分の身に何かあったとき、誰に連絡してどのように手はずを整えておくか考えておくことが大切になります。
参考:医療保険についてのアドバイス
のり子さんの事例にもあるように女性特有のがんは30代から40代のガンの発見が多く、完治するケースが多いものの長期の通院が多いのが現状です。
最近の医療事情として入院が短縮化され、その分通院が増えるようになった傾向でもあります。
ですので通院保証が充実しているものも良いかもしれません。
また医療保険は掛け捨てタイプでないと入院しないと給付金がでない事もあり、損だと思うこともありますがお守りの代わりと考えるのもひとつ。 事実のり子さんが加入していた医療保険も掛け捨てタイプでした。
【医療保険のチェックポイント】
●入院・手術以外の保証は?(通院・退院・女性特約など)
●どんな手術で給付金がでるか?(先進医療や放射線医療も対象か?など)
●終身型か更新型か?
●保険料の支払いは有期か、終身か?
●保障の期間は一生涯か?70歳から80歳までか
●何日以上の入院で保証開始か?
●支払い限度は通算、または1日いくらか?
また弊社ではおすすめしている医療保険のプランがあります。
もし興味がありましたらぜひお気軽にセミナーか個別相談でご相談ください。
まとめ と のり子さんのその後
のり子さんは抗がん剤治療を終えた後、1ヶ月間自宅療養し無事会社に復職しました。
それからも病院への通院は続き、5年経過後は完全に通院もなくなりました。
退院後しばらくは子宮を切除したために発症した更年期障害などでしばらくは体調が安定しませんでしたが、 今ではすっかり元どおりの体を取り戻し元気に毎日を過ごしています。
のり子さんは言います。
「「高額医療費制度」と保険金で治療にかかるお金の心配はほとんどありませんでした。私は両親が高齢なので親よりもほぼ旦那に治療中助けてもらえたことが大きかった。 特に抗がん剤治療の後半はひとりで何もできませんでしたから。例えばあの状態で住まいの更新手続きをやれと言われたら、絶対無理。。。 それらをやってくれる存在がいたことが本当によかったと思います。」
お金もさることながら、弱っている自分の介助をしてくれる存在がとても大きくなります。
また特に大病であったり、通院に長期間かかるのであれば家からもっとも近い病院で治療をするか病院の近くに一時的に引越してしまうのも手段のひとつ。 それぐらい病気のときの「移動」というのは困難なものです。
普段の日常生活も同じ。今はネットスーパーが充実しているのでそういったものを駆使して外出をできるだけ控えても全く外へ出ずに済ますのは難しそうです。 いざという時のために親兄弟との連絡や助け合える仲間づくりを意識していきたいですね。